2012年8月16日木曜日

こんなところまできてもテレビが見たいのか!?

 今回の4泊5日の旅で、私の車中泊用の装備はかぎりなく完成形であることを実感しました。確かに車自体は普通のステップワゴンであり、何ら改造を施していません。購入する時に全周をカーテン張りにしたことと、100Vの交流電源が使えるコンセントをひとつ付けさせたことだけであります。それに一昨年に800Wがまで使えるサブバッテリーを導入しただけのことですが、これで1ヶ月でも2ヶ月でも旅して回れと云われたとしても何ら不自由なく回れると思います。
 むしろ家電らしいものをほとんど使ってないので800Wのサブバッテリーシステムはオーバースペックなのではないかと思ってるぐらいです。ま、これはノートパソコンを使用して旅先に長期滞在して仕事をやるためのものですから仕方ないことですけれども。

 白馬の野営地で会った京都ナンバーの軽ワゴンのご夫婦は変わっていましたね。屋根に見慣れない小さな箱型の金属がついているのです。こういう変わったものをみると、もうウズウズして話しかけないでいられないのです。普段は人見知りが激しくて始めて会った人に自ら話しかけるなんてことは絶対にありませんけど、こと旅に出てしまうと性格が変わってしまうようです。

「こんにちは、この屋根についている変わったものはなんですか?」

「ああ、これね地デジのアンテナんですよ。」
「現地に着いたらね、近所の屋根のアンテナの向きをまねして向けるとテレビが写ルンです。」

 一番後ろの荷室に棚が括りつけられており、縦に3つ横に3つの区画があり、一番下の棚に液晶テレビ30インチぐらいでしょうか、鎮座ましましておりました。テレビはどのように固定されているのか追求し忘れてしまいました。他の棚にはまるで合わせて作ったかのような箱が見事にピタっと収められていました。

「ここは、あまり映りが良くないんだよな。」

 といいながらリモコンのスイッチを入れてみせてくれました。デジタル放送の映りが悪いテレビというのを始めて見ました。映像自体はしっかり映るんですね。アナログの場合は画面が流れてしまうから、ああはならない。デジタルの場合は画像がブツ、ブツと途切れるんですね。

 一番後ろのハッチを開けて、夫婦二人は外に椅子を並べて仲良くテレビ鑑賞をしているのです。

「これはサブバッテリーを積んでいるんですか?」
「そう、軽だからバッテリーは小さいけどね」

 世の中自分とは違う価値観念の人はいてもいいと思うし、むしろそのほうが多いのかも知れない。確かにここまでやるには知識と技術が必要だと思う。それには本当に感心してしまう。いや尊敬までしてしまいます。しかし、私は次の言葉に完全に打ちのめされてしまった。



「やはりここは映りが悪いから他の野営地に移動することにするよ」



 いやはや、京都くんだりからこんな山の中までわざわざやってきた理由というのはテレビを見るためだったとは、いささか力の抜ける話であります。

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