2016年10月19日水曜日

靴紐結んで・・・

8月のお盆休み過ぎに遅めの夏休みをとって、妻と二人で車中泊の旅4泊5日をだらだらと書き続けて、まだその旅が終わってないのに時はすでに10月の半ばを過ぎてしまいました。本当は青森県の竜飛崎まで行って帰ってきた話なのでありますが、文章はまだ男鹿半島あたりをウロウロしています。
これまでも、それほど筆が早いほうでは無かったのですが、これからも個人的な事情によりまして、ますます遅くなることが予測できます。それでもたまには覗いてみてやってください。時々は更新するつもりでありますから。
さて、ここからは続きとなります。

「靴紐を結ぶ」とか「おにぎりを持って」などという言葉を耳にすると、まだ子供だった頃のワクワク感がいきなり蘇ってくるような気がします。それは遠足の日の朝のことだったり、運動会の日であったりと、平穏な日常のなかで何の疑念を差し挟む余地もない子供心に今日は特別なハレの日なんだよということをはっきりと自覚させてくれるキーワードのひとつだったような気がします。
毎日のさして変わり映えのない日常生活では、朝食を食べて、後片付けをしてから、「さぁー、会社に行くぞー!」などという前向きな気持ちになることなどは年に数えるほどしかないのでありますが、旅先での気分はまったく違ってくるようであります。
いつもは気軽にサンダル履きですから出かける時に靴紐を結ぼうにも結ぶことはできませんが、やはり靴紐を結び直すというのは特別な作法のような気がします。だから気分だけは結び直します。「おにぎりを持って」というのも最近は糖質制限療法をきまじめに実行していますから、極力炭水化物は摂らないようにしていますのでこれも実行するにはいたりませんが、気分だけはガキの頃と同じように持つことにはしています。

夜中には私が運転を続けてきましたので、次の運転は妻の番であります。靴紐を結ぶような感じでシートベルトをきっちりと締めまして、男鹿半島巡りに出発であります。
4,5年前でありましたら、ほとんどの運転は私がやっていまして、妻がハンドルを握るなんてことは滅多になかった事でありましたし、妻の運転する車に乗るなんてのは考えただけで恐ろしくなったものでありました。
しかし、3年ほど前に緑内障を患ってからは、さすがに長時間の運転には耐えられなくなってしまいました。どうしたって妻に半分ぐらいの行程で運転をして貰うしかなくなってしまったのであります。

2016年10月13日木曜日

いよいよ出発ですが、後始末が最重要なのです

普段とたいして変わらない慎み深い食事なのですが、潮風を直接受けて、青い海に青い空の下で、のんびりと朝のひと時を過ごすというのは最高のご馳走であります。
沈む夕陽を目にしながらのんびりと酒を飽きるまで呑み、満天の星空をみながら寝入ってしまうというのも好きですが、朝のこのひとときも旅先での楽しみのひとつなのであります。
とはいっても、いつまでもこの場所にとどまっているわけにはいきません。まだ地元の人びとが本格的に行動を起こす前のひとときですから、夫婦ふたりだけで静かな朝の時間を過ごすことができただけの話であります。
私たちはどこまでいってもよそ者なのです。よそ者が必要以上に大きな顔をしていてはよくありません。やはりそこには慎み深さというものを持ち合わせていなければならないと思うようになったのは、数多くの放浪を体験して得た結論なのであります。

この素晴らしい朝ごはんを食べてくつろいだ場所は地元の方々が提供してくださっているものであります。トイレにしても水洗になっており、清潔に掃除がなされています。
それをあたかも当然のごとく思って傍若無人に振る舞うなんていうことは最初から旅する資格が無いと思うのです。いくら「旅の恥はかき捨て」なんていう言葉があったとしても決してあってはならない事だと強く思っているのであります。
どうも説教じみてきたけれども、互いに気持ちの良い旅を続ける鉄則だと思うに至ったのであります。
ということで、飛ぶ鳥後を濁さずであります。干してあった寝袋を片付け、イスとテーブルを収納し、簡単に朝の整理整頓が終わりましたら、車の周囲に余分なゴミが落ちていないかを点検します。最近は以前に比べますと煙草の吸殻や、食べ物の包装類等々のゴミが捨てられていることが本当に少なくなってきているように感じます。日本人のマナーが飛躍的に向上してきたことを感じます。たぶんにしてそれは民度の低いどこぞの国を反面教師にしているからに違いないと思っているのですが。
私が、なかでも一番注意を払っているのは食べ物の食い残しなどは、絶対に捨てないようにしています。私たちが何気なく捨てた食べ残しに野生動物が集まってきたら、地元の方々にも、また私たちと同じように車中泊で旅している人びとにも大きな迷惑をかけると思っているからです。たとえ液状のものでも決して捨てることはありません。洗い場がない場合はキッチンペーパーに吸着させてから、しかるべき場所に捨てることにしています。

いつまでもこの朝の静かで芳醇なひと時に浸り続けていたいのですが、限られた日数の貧乏旅であります。どこかで腰をあげて未知の世界へ向っての旅立ちの準備をしなければなりません。本当は未知の世界などではなくて私にとっては2回目の地なのですが、このように書いたほうがなんとなくかっこういいように思えたもんですから。
さていよいよ男鹿半島めぐりに出発であります。

2016年10月3日月曜日

案外役にたつジブロック

ぼんやりと海を眺めたり、昨日とはうって変わった快晴の青空を眺めたりしていたら、妻が戻ってきた。開口一番に「コーヒー、もう一杯呑みますか」と聞いてきたのです。

独り旅をしている時は、どうも流暢にお湯を沸かしてコーヒーを淹れるというのが面倒でしょうがなく、最初の頃はインスタントコーヒーを旅先で買い求めて朝一番にお湯を沸かしてポットに入れて賄っていたのですが、しだいにそれすら面倒になり、無糖のアイスコーヒーのペットボトルを買い求めて、それをチビリチビリと呑みながら旅していたのです。
朝食にしてもわざわざイスとテーブルを出して、調理器具をだして調理するなんてのも、かなり面倒に思われ、ありあわせのものがクーラボックスに入っていれば食べるけれども、何もなかったら、そのまま走り続けてコンビニかスーパーでもあったらそこが朝食の時間だし、ファミレスなどがあったら尚ベターなのでありました。
その点妻が同行すると車中泊による貧乏旅であってもぐっとリッチになるわけであります。さすがにコーヒーメーカーを持ち歩くのは邪魔になるのでやめてはいますが、コーヒー豆がパックに分かれているのを使用して、一杯、一杯作ってくれるので旨いです。
スバヤク、コーヒーのおかわりを作ってくれると朝ごはんの準備を始めました。本日の予定は男鹿半島をのんびりと一周するだけの予定でありますから別に急ぐ必要もありません。今夏の旅は男鹿半島を最終地にして、このまま自宅に戻ってもいいわけであります。

いつの頃からか妻はジブロックというチャックのついているビニール袋を持ってくるようになりました。タッパーの重要性は私も以前から理解しており、常に持ち歩くようにはなっていたのですが。ジブロックとはね。

道の駅などには産直野菜を売っているところが多いのですが、大抵の場合安くて新鮮で信じられないほど安かったりするわけでありますが、近所にあればなんぼ助かるかという話でありますけれども、旅先では安いからといってそのまま購入するわけにもいきません。
そんな時にジブロックを利用して一夜漬けや浅漬を作ってクーラボックスの中に放り込んでおくわけであります。そうすれば旅している間にちょうど食べごろになるわけであります。
それが毎食、サラダ代わりに食卓に並ぶことになるわけであります。私などは晩酌の時に漬物がないと我慢ならないものですから、これは大助かりなわけであります。

さっきまで一羽だけだったトンビがいつのまにか二羽になり、相変わらず無音でよりそうように円弧を描いていました

2016年10月2日日曜日

朝食を摂るのにちょうどいい場所が

夜が明ける時の展開はジツに素早いもので、東の空が白み始めるまでは、かなりもどかしいものなのだが、ほんの少しだけ申し訳程度に薄明るくなったと感じるまもなく強烈なお日様が顔を出し始める。旅先ではこのほんのわずかな時が私の一番好きな時間でもあるのです。

そうしてすっかり周囲が明るくなるのと同時に、普段は何に使っているのかわからないような大きな駐車場が海べりに姿を現しました。
駐車している車も見当たらず、入口側にトイレもあるようなので、ここで朝ごはんを食べる場所に決めました。海をみながらのんびりと朝の空気やら陽の光を楽しみたかったので、イスとテーブルを外にだしてセッテングをして、偵察を兼ねて先程目にしたトイレに向ったのでありました。
全体で長さが400メートルほどもあるような駐車場の真ん中に陣取ってしまったものだから、トイレまでの距離も結構ありましたが、ま、朝の散歩だと思えばなかなかいいではないかと思い開放感に浸りながらトイレを済ませて海岸のほうに目をやってみると、そこには大型のテントとタープを広げて寛いでいる若者が数人たむろしておりました。様子を伺っていたら、どうやらサーフィンをやりにきているらしいのであります。どうみたって波一つない静かな海べりでサーフィンなんかできるのかなという思いがかすったのですが、街の中をサーフボードを載せて意味もなく走り回っている連中に比較したらかなり許せる範囲なんだろうし、波の高い時もあるのだろうと一人納得させてしまった。
顔を洗ったり、歯を磨いたりしてから海岸に降りて潮の香りを楽しみながら車に戻ったら、妻はすでに起き出しているみたいでテーブルには淹れたてのコーヒーが2つ用意してあった。
周囲には妻の姿が見当たらなかった。私が一段下になっている海岸近くの小道をぶらぶらしながら帰ってきたので妻がトイレに向かうのと入れ違いになったらしいのです。

彼方の稜線に小さなトンビの影がゆるーく輪を描いて音もなく飛んでいる姿が目に入った。車の全てのドアを開け放ち、寝袋を裏返しにして干して、ベッド状にしてあった後ろ座席を元に戻し、簡単に荷物の整理をした後に、私は深く椅子に座って両足を投げ出して、まだ熱いコーヒーに口をつけたのでした。

2016年10月1日土曜日

ようやく夜が明けはじめまして

深夜というか早朝というべきかに秋田市内で燃料補給を済ませてから、いつものようにカーナビの設定を男鹿市の代表的な場所にしておいた。しばらくの間、暗闇の国道7号線を走っていたのですがようやく、ナビに促されて左折をした。ナビで指定した男鹿市の代表的な場所というのはおそらく男鹿市役所を指すのでしょうけれども、男鹿市役所が男鹿半島のどの位置にあるのかはまったくわからないので、とにかく行けるところまで行ってみて、それから考えようといういつもどおりのかなりいい加減な計画とも呼べないようなものであります。

今回の4泊5日夏休み旅行の3日めの朝のことであります。本日も含めて残りは後3日間ありますから気分的にはかなり余裕があったのも確かな事であります。

男鹿市の繁華街に近づいてくると共に周囲の闇は薄らいできつつあった。おそらく5時を少し回ったぐらいの時だったと思います。予想していたよりずーっと賑やかな市街地だったのですが、その自分で勝手に予想していたのは、まだ茅葺きの家々が点在しており、暗くなるとナマハゲが大きな包丁を持って跋扈しているぐらいの事ですから、男鹿市民の方々にとってはまったく失礼千万なものでありました。
ちょっと高台の方におそらく男鹿市役所があるようでありましたが、それを無視して直進しました。3分もしないうちにカーナビは目的地すなわち男鹿市役所へ戻れ戻れと盛んに囃し立てるものですから、路肩に停車してナビの案内を中止させて、後は半島を一周するまで何も設定しないようにしました。幸運なことに半島を一周りするように道路ができているようであります。
ほどなくして懐かしい日本海が顔を出しました。本日は昨日の愚づりがちな空模様と違って全面的な快晴であります。
海の色も真っ青、空も雲ひとつない快晴であります。漁村風景の中をのんびり走って行きます。たまに漁師の軽トラックらしいものが忙しそうに追い越して行きます。