2010年12月22日水曜日

もはやそのアウトドアスピリッツなどはことごとく打ち砕かれてしまって胡散霧消してしまった

 蛇口をひねれば水がでるのはあたりまえだ。スイッチを押せば電気がつくのもあたりまえだ。そのあたりまえでない生活を4ヶ月も続けたら、自宅にいるのがウレシクてウレシクてしょうがない。自宅の場合は蛇口を押せば水がでてくるどころの話ではなく、一番右にまわして押せば浄水がでて、一番左にまわして押せばなんとお湯まででてくる。スイッチを押せば赤々と照明が灯り、冷暖房までスイッチひとつで済んでしまいます。長年住んでおっても、まったくその有り難さに気がつかなかった。
 もはやそのアウトドアスピリッツなどはことごとく打ち砕かれてしまって胡散霧消してしまってどこへやらの状態であります。
 秋田の農園では最初の2ヶ月は電気さえなかった。電気のない心細さと不便さを骨身に沁みて無理矢理理解させられた。夕方の4時頃から夜の準備をすっかり整えておかなければ、やがて訪れる真正の暗闇のなかで何もすることができなくなるのだ。あれからまだ半年も経っていないのに、もう記憶は懐かしさの範疇にあり、よくあんな生活ができたものだと自分自身に感心する有様であります。

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