2011年2月22日火曜日

Shiratakiの音楽夜話 Cornell Dupree 「Teasin'」・Tony Williams 「The Joy Of Flying」・Jack Bruce 「Automatic」

 どうもどうも。shiratakiです。ここ三年ほど、ご無沙汰でした。
 他のサイトで色々書いたりはしていたので、ここに投稿するネタがないまま時を過ごしてしまいました。
 まあ、久々なので、少し最近聞いていたアルバムを数枚紹介しようと思います。

Tony Williams 「The Joy Of Flying」
 不世出のドラマーである故・トニーが、当時行っていた他流試合やセッションを収めた物で、曲ごとにメンバーも違うが、バラエティに富むもので、上手く纏っている。
 特筆すべきは二曲収録されているヤン・ハマー+ジョージ・ベンソンが組んでいるセッション。下品なシンセサイザーの大家(褒め言葉)とウェス直系の正当派ジャズギタリストが一緒のセッションしているという奇っ怪なものなのだが、どういうわけか、上手く化学反応を起こしていますな。あんまり食い合わせが悪くない。そのヤン・ハマーとトニーのデュオが二曲入ってますが、ヤンのシンセがこれが、またギターサウンドを研究しつくしたシンセ音で笑ってしまうのだな。四曲目の「Open Fire」はロニー・モントローズのギターが暴走気味のロックナンバー。日本でのライブテイク(1978年7月27日-30日 田園コロシアムでの「Live Under The Sky」)なのが嬉しい。
 

 Cornell Dupree 「Teasin'」
 デュプリーに関しては、数年近く前に、あのStuffのCDは持っていたのだが、余りピンと来たことがなかった。ふとしたことから興味を持ち、彼のソロを手に取ったのはこれが初めての事だ。バーナード・パーディとチャック・レイニーからなるリズム隊の上で、デュプリーの渋いギターがまた良い感じなんですな。
 「How Long Will It Last」なんかはスタッフのバージョンよりこちらの方が好みだし。
 二ヶ月程前に、実は彼の教則本を手に入れていて、テレキャスターとオレンジアンプを片手に休日にフレーズを弾いて練習することがあるのだけど、シンプルで簡単そうに見えて奥が深い。ブルースとソウル、そして微かに香るカントリーの匂いもそうだが、職人芸そのものなカッティングと、どこかしらリズムに独特のタメがあって、上手く再現出来ないのだ(筆者の技量が低いせいもあるが)。何故彼がセッションでファーストコールで呼ばれ続けたミュージシャンなのか、少しばかり理解できた気がする。


Jack Bruce 「Automatic」
 近年ようやくCD化されたという代物。当時最先端のサンプリングマシンであったフェアライト構築されたデジタル世界で、クリームのベーシストであり、ジャズロックやブルース指向であった彼からすればかなり異端なアルバムだろう。ジャック・ブルースの曲というのはどこかアクが強い。男臭い曲が多い気がするのだが(「想像されたウエスタンのテーマ」とかさ……)、自動演奏と共に彼のボーカルもエフェクト処理されたこのテクノポップ然とした世界の中では、その強烈なアクが薄れ、存在感が希薄だったポップ性が表面に浮き上がってきている。私的にはGlenn Hughes/Geoffrey Downesの「The Work Tapes」と並ぶロック側のミュージシャンがアプローチしたデジタルポップの金字塔だと云える。デジタルで楽しいナンバーで聴く側を浸らせてくれるが、最後のハーモニカによるブルースナンバー「Automatic Pilot」で彼本来の泥臭いフィールドに引き戻されるという趣向も面白い。

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