2013年11月4日月曜日

旅にでないで、ひたすら思いでに耽ってしまっている

ちょっと遅めの朝食を済ませて、続きの仕事をやろうと、いつものようにパソコンの前に座ったのだが、どうも今一気持ちがのってこない。気持ちののらない時は、どんなに自分をなだめすかしても効率が悪くてダメなのであります。それは効率が悪いなどというものではなくて、まったく仕事にならないといったほうがいいかもしれない。いくら焦っても、どうしょうもないことでありますから、諦める他はないのです。むしろ、これまでの数ヶ月間よくここまで集中力を切らすことなく続けてこられたもんだと逆に感心もし、素直に自分を褒めてやりたい気持ちであります。
もともと、この3連休は自分の思いは紅葉狩りだったのでありますが、妻が勝手に予定を入れていたので、泣く泣く「毎日が月曜日」の生活を続けざるを得なかったわけであります。それが本当の月曜日になって、どうも気持ちが切れてしまったというのが、なんだか笑えてしまうのであります。

そうか、本来は今日まで旅に出ているはずなのだから、ゆっくりすればいいのだと思うことにした。家で風呂に入るのはそれほど好きではなく、家人が不潔だのどうだのとギャーギャー煩いので仕方なくアリバイ作りのために入っているようなところがあり、本心は「人間は一生風呂になんか入らなくても死にはしないのだ」と、うそぶきたいのだが、いつもそれはぐっと呑み込んで不承不承入るのであります。
それが一転して旅に出たらば一日に一度は温泉に入らないと気がすまないのです。移動している間もどこかに素敵な温泉はないかと物色の目は絶えずキョロキョロしているのです。それは獲物探すカメレオンとそっくりであります。旅にでると私は俄にひたすら日帰り温泉を探すカメレオン男と化すのでありました。

さて、せめて朝風呂にでも入ることを思い立ち、久しぶりに朝風呂にのんびりと入ったのでありました。しかし、のんびりといっても家風呂では長くて入っていて30分が限界であります。旅先では最低でも1時間は入っていられるのに。と思ったが、その内容は結構露天風呂で岩に腰掛けて、他所の人に話しかけて根掘り葉掘りと、その人の人生や家族構成を聞き出していたりしているのでありました。だから湯船に1時間なんてことは決してないわけであります。やはり実質は30分ぐらいではないかと思うのであります。

寒い時の特に今頃の季節の露天風呂は最高なんですよね。体が冷えてくれば、頭だけを出して後はすっぽりと体を沈めてしまい、暖まればまた岩に腰掛ける。人が入れ替われば、その都度目をつけていた特等席と思われる場所に少しずつ移動していくのであります。
時折り真っ赤に紅葉した葉っぱが湯船に舞い落ちてきたりしてね。中には強者もおり、日本酒とかビールを隠し持っていて、チビリチビリやっていたりします。

そうそう、北海道を一人で旅していた時、確か9月の中頃だったと思います。北海道は8月でも場所によってはコタツやストーブがマジで欲しくなるようなところであります。
羅臼の道の駅で知り合った車中泊の達人夫婦に川北温泉を薦められて、4日間ほどいついた時がありました。本当はもっと居たかったのですが、食料や酒が底をついてしまって買い物に出なければならなくなったのですが、買い物といったって店を探して辿り着くまで半日はかかってしまうところであります。そんなわけで5日目にそこから立ち去る決意をしたわけであります。
そこは何十年間前に町の保養所があったところで、台風の被害にあい建物は全部流されてしまったところなのですが、あまりに温泉が良質なので町の有志が立ち上がり男湯と女湯を復興させたところなのです。建物は脱衣所とテント張りの休憩所だけという、まったく夢の様な場所でありました。360度が広葉樹の山であります。すぐ側にそれこそ手を伸ばせばとどくほどのところに半端でない冷たさを伴った川が、かなり勢い良く流れているのです。温泉の温度はかなり高く、熱くて入れないようになると、その川の水を注ぎ込むのであります。その水は10cmほどの口径の太いホースで常に流れており蛇口もなにもないのでありました。
4日もそこにいますと、いろんな人がやってきます。そして私よりも年配の人が湯船に腰掛けていた私にタバコを差し出したので。私は驚いてしまって「え、こんなところで吸ったら怒られるんじゃないの?」「なあに、云ってんだ。禁煙なんてどこに書いてあるんだ。それにここは外だぞ」「そこの下駄箱の上に灰皿があるだろう、それをこっちに持ってきてくれ」ということで、私は生まれて初めて温泉に入りながらタバコを吸ったのでありました。
そしてタバコが許されるなら、当然お酒も許されるわけでありまして、私は昼間は決して呑まないのでやりませんでした。昼間呑まなかったのなら、夜呑んだのかと問われそうですけど、夜は真っ暗闇でとても怖くて一人で温泉などに入れたものではありません。そうか思いだした、一度だけ夜の温泉に入りました満点の星を見ながらでしたが、やはり周囲はヒグマの巣窟ということで、そちらの恐怖が先にたってしまって、それほど楽しめなかったことを覚えています。
しかし、地元の人の知恵は凄いです。どこからともなく車で乗り付けてくると、いきなりボンネットをあけてゴソゴソやっているのです。1分もすると温泉に灯りが灯るのです。これには参りましたね昼間気が付かなかったのですが、脱衣場の上に電気がついており、それのコードをバッテリーにつないで点灯させるわけであります。当然そこに電線などはきているはずもないところでありました。

なんだか最近旅にでないで、旅の思いでだけに耽るようになってしまって、これはかなり良くない兆候ですね。

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