深く傷ついた森のぽーは貧弱な一間だけの家の粗末な木戸に「ちょっと旅にでます。探さないでください」という張り紙を残して姿を消したのです。
なんていう、場面に強く憧れているのだが、まったくそのような格好いいものではなく、小銭もちょっとばかし入ったし、この夏の家族との行事もひと通り終わって、ちょっとだけ暇になったので、湯治にはちょっと早いけど出かけることにした。
3.11で出鼻をくじかれて以来、独りで彷徨(さまよ)うこともなく、じっと堪えて引き篭もり生活をしていたのだが、ここらあたりが自分の限界だなと感じたので、突然の家出を強行することにした。家族にはまだ何も告げていないが、どうせ誰も心配はしないし、また不良オヤジの病気が始まったなぐらいにしか思わないだろう、その点誠に気が楽なのである。
家出をすることは決定しているのだが、どこへ、いつ、といった具体的なことは何も決まっていない。まずは荷物の積み込みから開始することにする。
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