2009年2月11日水曜日

桧枝岐村は平家の落人の子孫では無いとする説その2

ついでなのでもうひとつ文化人類学入門 (中公新書 (560))から引用しておくことにしましょう。

「民謡・神話にみられる文化伝播の例」P48
なおここでついでに記しておくと、平家の落武者が源氏に追われ追われて逃げ延びたあげくに住み着いて、そこからムラができあがったと住民のあいだに語りつたえられている山奥のムラがあちこちある。「平家村」などと一般に言われていて、ムラ人は全国でもそんなところは自分のところだけだと固く信じているわけなのだが、実をいうとまったくおなじような言いつたえの残っているムラは、武田静澄氏の研究によると全国で百三十二カ所あり、北は遠く東北地方から南は九州に連なる薩南諸島にまで及んでいる。こうなってくると、源氏に追いつめられた平家の落武者たちが、かりに一人ひとりバラバラに逃げたとしても、とうてい勘定にあわないし、またいくら追われたからといって、そんなに遠くまで逃げたというのはいくらなんでもありうべきことには思えない。実際のところはおなじストーリーが全国に伝播して、あちこちに定着して伝説化したというのがほんとうであろう。日本のなかの農村漁村の歴史などを調べるとき、事実とフィクションを区別するためにも、こうした伝播という現象をいつも頭のなかにおくことが必要なのである。


うーーん唸るしかないね。

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