今日は早い内から、じとじとと雨がひつこく落ちてきているので、これを幸いとして散歩はとりやめた。偶然にアルバムから同じ季節の鳥海山を発見した。今年の鳥海山の雪はどうなんだろうか。
この年は4月のなかば頃から家出をして、東北を彷徨っていた。1ヶ月ほど秋田、青森とふらついて結構疲れていたので実家のある山形を目指していたのです。
暖かい関東からすれば、まだこのようにたくさんの雪が残っていることに感動すら覚えて、いつまでも時間が過ぎるのも忘れて鳥海山を眺めていたことを思い出します。
予定などまったくない旅でありますから、庄内の地から去りがたくこの日は確か最上川の間近にある駐車場に一泊した記憶があります。4時間もあれば楽々実家に着く距離なのだが尽きることのない大量の雪解け水の流れを見つめて「あ~あ~ 川の流れのようにーー」なんて大声で歌って酒を呑むという雰囲気ぶち壊しのバカなことをやっていたような気がします。忘れました。都合の悪いことはみんな忘れてしまえばいいのです。
福島県は浜通り・中通り・会津と3つの地域に分けて呼ばれるように、山形県は置賜(おきたま)・村山・庄内とわけて呼ばれます。かなり乱暴にいえば置賜・村山は似たような文化圏ですが、酒田・鶴岡を中心にした庄内地方はまったく違う文化圏になると思っています。
庄内言葉は優雅です。村山言葉はズーズー弁のなかにあっても特別荒っぽくてきたないと思っています。北前船の影響で雅な京文化が酒田を中心にして入ってきている影響でありましょう。
当時はまだ藤沢周平の存在を知りませんでした。知っていたら1ヶ月ぐらいは鶴岡を中心にうろついていたことでありましょう。
当時は同じ山形出身の作家で森敦というのがおり、彼の月山・鳥海山 (文春文庫 も 2-1)という2つの作品が好きでありました。晩年に認められた彼の作品は、私の知る限りにおいてはこの二つしか無かったような気がします。一年ほど前に月山を読み返した記憶がありますので、よほど気に入っているのでしょう。
ま、5年ほど前の庄内側からみた鳥海山でありますが、現在とそれほど変わっているとは思えません。ひとつこの写真を眺めて今年の鳥海山に思いをはせてください。全然まったく違っていたりして。
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